女40歳、お嫁にもらってもらいます!
「今回は逃げないですよね…。」

私は身体がぞわぞわしてきた。

その瞬間、私の身体の力が抜けた。

「郁美!?」

慌てて、大野くんが私の身体を支えた。

「…ごめんなさい。年甲斐もなく全速力で走ったりしたから…。」

私は力のない笑顔を目の前の愛しの人に向ける。

「そんなに一生懸命帰って来てくれたんだ…。」

感激している大野くんには悪いが、そればかりが理由ではないんだけれど…。

あの時は仕事の事を考えて、日帰りを決めたはずなのだから…。

でも今の私にはそんな事はどうでもいい様に感じられた。

自分では気が付かないだけで、実は大野くんのこの温かさを求めて帰ってきたのかもしれない。

そう思いたい。

< 118 / 225 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop