女40歳、お嫁にもらってもらいます!
4
指定された店に向かう間、さっきの事はなかったのだと思わせるくらい、主任の態度はいつもと変わらなかった。

話題は仕事の内容に終始し、あっという間に店に着いた。

中に入ろうとした瞬間、主任が私の腕を取って制止させた。

「どうしたの?主任。」

振り返った私に、じっと視線を合わせる主任。

「…俺は、あなたのそばに居ますから。少しは俺の事も仕事以外の目で見て下さい。」

そう主任は言った後、先に店に入った。

やっぱり本気だったんだ…。

私は少し胸が高鳴る。

こんな気持ち、久しぶりかも。

確かに主任の性格上、あんな事を遊びで出来るとは思っていなかった。

さっきの場面が手に取るように思い出されて、私は自然と目を閉じる。

あまりの突然の事で、さっきは頭が真っ白になり何の対処も出来なかった。
< 16 / 225 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop