女40歳、お嫁にもらってもらいます!
「いいえ、俺が急に連絡をしてしまったのですから。」

晃太朗のその微笑みに、胸がきゅっと痛くなる。

「明日って言われたんですけど、私が来てしまったから。」

女性が恥じらいの表情を見せる。

ああ、この女性か…。

主任がよく二人で居る所を見かけたと言っていたし、西田も何だかそんな事を仄めかしていたな。

私はまだゼイゼイと言っている胸に手を当てた。

とにかく落ち着いて、ちゃんと現実を受け入れよう。

私は晃太朗の仕事の姿しか知らない。

さっき自覚したけれど、プライベートなんて全くと言っていいほど知らないのだ。

そして笑い合う二人の姿をもう一度眺める。

次の瞬間、二人に背を向けるように、私はくるりと身体の向きを変えた。

「これで良いんだ。」

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