女40歳、お嫁にもらってもらいます!
私は晃太朗に背を向けると、資料を持ってオフィスを出た。

「おはようございます。」

そこに入って来た西田が、私の顔を見てぎょっとした。

「係長…?」

「ごめん、ちょっと出て来るわ。」

私はそれだけ言うと、まっすぐ打合せ室に飛び込んで鍵をかけた。

「うっ…、うう…。」

私は昨日からどれだけの涙を流しているんだろう。

涙って、枯れないものなんだな。

そう思うと、笑みも漏れて来た。

これが泣きながら笑うって事なんだろうか。

昨日の主任との事が頭をよぎる。

私だって、晃太朗を裏切る事をしたんだから…。

早朝、目を覚ました私を眺めながら主任はつぶやいた。

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