女40歳、お嫁にもらってもらいます!
25
私は部長の後をすごすごとついて歩いていた。

部長とちゃんと話さなければならないと何度も思いながら、どうも注意が散漫になってしまう。

いや、違う。

そんな風に違う事に意識を他へ向けないと、身体から力が抜けて立ち上がれなくなりそうなのだ。

ふっと我に返ると、涙が溢れそうになる。

午前中は仕事に没頭することで、何とか自分を保っていたけれど…。

「落ち着いて話すには、やっぱり和食かな。」

珍しく私の様子を伺いながらの部長に、何だか申し訳ないような気がする。

「…すいません…。」

私の口からはそんな言葉が零れ落ちた。

個室に入り部長に注文を任せると、私は顔を上げて部長の目を正面から見つめた。

「部長、わざわざお時間を取って頂いてありがとうございます。」

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