女40歳、お嫁にもらってもらいます！

「君ならこのプロジェクトと晃太朗と、どちらを選ぶか分かっていたつもりだ。晃太朗だってああ言う事で、自分の立場を思い出してくれると思ったんだ。」

私はクスリと笑った。

「部長の思惑通りになったって事ですかね。」

自分が何だか情けなくて、もどかしくなった。

「…いいや、もう少し晃太朗をこの会社に置いておきたかった。…まだ帰すには早すぎると思う。」

私は大きく首を横に振る。

「充分彼は学んだと思いますよ。今、仕事が楽しくて仕方がない時期になってきているはずです。この勢いのまま、帰すのは良い事だと思いますよ。」

これは何の偽りもない私の上司としての意見だった。

「こ…、いえ大野くんなら大丈夫だと思います。」

自分でも驚くぐらい、はっきりと言えた。

「…済まないね。山本さんには辛い思いをさせてしまった。」

今度は部長が深々と頭を下げた。

.「いえ…、でも早くにそれを話してもらっていたら、私も私なりに対処できたかなと思うと、少し残念です。」