女40歳、お嫁にもらってもらいます!
私は視線をぐるりとフロア全体に投げかける。

ああ…、新卒でこの会社に入ってから、私は私なりに頑張ったよね。

いろんな場面がいろいろな形で浮かんでくるようだ。

「では、みんな頑張ってね。」

私は4人を残して、その場を去った。

きっとこれから大野くんの別れの挨拶が始まるはずだ。

大野くんはもう少し残務整理をして、3日後に退職する予定だ。

私は自分勝手ながら、大野くんを見送る事を拒否した。

だから大野くんより早い退職日を選んだのだ。

あのグループの中では、これ以上涙を流せない…。

これが40歳、女係長の意地。

「可愛げがないよね。」

ポロリとそう言葉が漏れた自分に、また笑みが浮かぶ。

全ての肩書が抜け落ちた一瞬だった。

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