女40歳、お嫁にもらってもらいます!
そう…、これは本当に最期の上司としての務め。

私は気持ちとはうらはらに、顔に笑顔を貼り付ける。

「最高のプロジェクトだったわ。私の代表作よ。これからもこれを売りに仕事を頑張って行くわ。」

それほどまでに、会社にも発注先にもその出来栄えは称賛された。

この業界で、ちょっとした話題にもなったくらいだ。

かなり会社に退職を慰留された後、今後も下請けとして関係を続けられるのも、このプロジェクトのおかげだ。

私は大野くんに右手を差し出した。

「いい仕事をしてくれてありがとう。」

大野くんはその太陽のような微笑みを私に向けてくれた。

「ごめんなさい、あなたとはちゃんと一対一でお話をする時間を取る事が出来なくて。」

その瞬間だった。

私はぐっと大野くんに引き寄せられた。

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