女40歳、お嫁にもらってもらいます!
私はやっと言葉を発する。

「あんなに動揺した事はありませんでしたね。でもそのミスのおかげで、主任と飲みに行く機会がありまして。」

大野くんがチラリと私と反対の方向を向いた。

「主任はいろいろと話してくれました。そして郁美さんを幸せにしてほしいと言われました。」

「あのね、大野くん…。」

「俺は一体何をしていたんでしょうね。仕事上でもあなたにも大事な事は全然伝えられていないんだ。」

やっと大野くんがこちらを向いた。

「俺と結婚することがあなたの幸せじゃないのなら…、あなたがこの会社で仕事を続けられるのなら…、俺はそれを受け入れようと…。」

「どうして?」

思ったより私の一言は冷たく響いたような気がした。

「どうして私達は自分の思いを封じ込めなくてはならないの?」

大野くんが何かを言ったような気がした。

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