賽の河原で鬼さんこちら
河原に散らばった石を、子どもは再び積み始めた。

何度も何度も崩しながら、それでも積み上げる。

そのような子ども等が、河原のいたるところにいた。



両親より先に死んでしまった、親不孝の罪を背負った子どもが辿り着く場所。

それがこの賽の河原だった。

罪を背負った子ども等は、親への供養とただひたすらに石の塔を積み上げる。

石の塔が完成すれば供養が済むのだが、それを大鬼は許さない。

ようやく積み上げた石の塔を、大鬼は片端から崩していく。



何度も、何度も。



石の塔をいくつ崩してきたのか、大鬼ももう覚えていない。

生まれる前からずっと塔を崩していたような気すらしていた。
< 2 / 53 >

この作品をシェア

pagetop