賽の河原で鬼さんこちら
「不安にはならないのか」


大鬼の言葉に、少女は少し考えた後、


「全然」


にへらと笑った。

その返答に大鬼はため息をつく。


「いいか、この歌にもある通りだな」


大鬼がいつもの調子はずれな歌を口ずさむと、少女は「へたくそね」と笑った。


「じゃあお前が歌ってみろ」


むっとしながら大鬼が言うと、少女は「いいよ」と笑ってみせた後、澄んだ歌声で歌い出した。
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