賽の河原で鬼さんこちら
「あ、見つかった」


にへらと笑いながら少女が言う。


「こんなに高い塔をお前が建てたのか」


見上げながら、大鬼が言う。


「最近元気なかったから」


積み上げればあなたが喜んでくれるだろうと思った、少女は笑いながら言う。


「あっちはみんないるから集中できなくて」


渡し場の方向を指差しながら、少女が言った。


「すごいでしょ」


にへらと笑う顔を、懐かしいと大鬼は思う。
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