賽の河原で鬼さんこちら
ああ、簡単なことだった。


塔を見上げ、大鬼は思う。

いつの間にか、少女といる日々を楽しんでいた自分がいたのだ。

ただ塔を崩すだけの空虚な日常を送ることが、いつの間にか嫌になっていたのだ。

少女と過ごす日常に身を置きたいと考えている自分がいたのだ。



許されないことだった。



自分の存在が、あの賽の河原で過ごしてきた日々が、全て無駄になってしまうということだった。
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