賽の河原で鬼さんこちら
「別にいいやー」


 裸足で器用に河原を駆けていく少女に思わず大鬼は呆気に取られたが、すぐに我に返ると少女を追いかけ始める。


「よくはないだろう、逃げるな、ちゃんと石を積み上げろ」


大鬼はあっという間に少女に追いつく。

しかし、捕まえようと手を伸ばすたび、するりするりと少女はその手から逃れた。


「おにさんこちら」


少女は笑いながら駆けて行く。

一体何なのだ、と大鬼は溜息をつきながら少女を追う。
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