神様のような貴方の箱庭に、死ぬまで二人きりで。
ツヤツヤのショートカットの黒髪に、切れ長の二重の瞳。
地毛か疑いたくなるくらい長い。目を閉じると、影が鮮やかに見えるまつ毛。
先輩は農学部一の美女だっていわれている。
温室での時間は、そんな高嶺の花な先輩を俺が独り占めできる時間だ。
先輩は花が好きで、毎日7時ピッタリにここに来る。平日だけでなく、休みの日もだ。
俺はそんな先輩が水遣りをしてるのを一日中見ていたいくらいには、この人にハマっている。
先輩は今日も7時に来た。
俺はいつも温室に6時55分には着くようにしてる。
そうすれば、元気よく鼻歌を歌って如雨露に水を入れる先輩を、一番で見ることができるから。