このお見合い、謹んでお断り申し上げます~旦那様はエリート御曹司~
まさか、と思いダイニングテーブルを見ると、すでに二人分の朝食が並んでいる。ご飯と味噌汁に、焼き魚。今朝は和食のようだ。…爆睡した上に料理まで作らせてしまうとは。それにしても、起きたら朝ごはんを作って待ってくれている律さんって…。ハイスペックすぎる。
「そろそろ起こしに行こうかと思っていた。…と、随分刺激的な格好だな。」
「あ、すみません…!勝手に服をお借りしてしまって…」
「問題ない。…適当に用意しよう。スウェットでもいいか?」
私が着るとオーバーサイズの黒の部屋着。くすくすと笑う彼だが、私は律さんの香りに包まれているようで落ち着かない。
顔を洗い、促されるまま席についた。二人一緒に手を合わせ、出来立ての朝ごはんを口に運ぶ。
「美味しい…。律さん、もうこれ、料理が特技と言ってもいいレベルですよ。」
「口にあったなら何よりだ。…二人でカレーを作った頃が懐かしいな。」
目を見合わせてくすくすと笑い合う。そういえば、そんなこともあった。スパイシーすぎるカレーの味は今でも思い出せる。
他愛のない話をしながら食事をしていると、彼はふと、私を見つめてそっ、と告げた。
「…この後、一緒に買い物にでも行かないか?この家に、百合の使うものを揃えて置いた方がいいだろう。」
「えっ…?」
「着替えとか、歯ブラシとか…。“次”の時のためにな。」