このお見合い、謹んでお断り申し上げます~旦那様はエリート御曹司~
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『ようこそ、おいでくださいました…!お部屋へご案内致します。』
ーー約一時間後。
新幹線で駅弁を楽しみながら、予定通り目的の旅館に到着した私たちは、女将さんに案内されるがままに廊下を進んでいた。そして、部屋の襖を開けた瞬間。私は目の前に広がる光景に目を輝かせる。
ーー「和」を基本としたデザインで統一された部屋。窓の外に広がる自然と調和した落ち着いた雰囲気に思わず感嘆の声が出た。
「…す、すごい…っ!広…っ!!」
豪華な掛け軸と屏風、そして、広々とした座敷の奥にまだ部屋があるようだ。ここを律さんと二人で使えるなんて贅沢すぎる。
「…え?紘太達も合流するんでしたっけ?」
「ははっ、そんなわけないだろ。俺と百合だけだよ。」
穏やかに笑う彼。にこやかな女将さんが部屋を出た後、ついワクワクが止まらなくなった私はまるで子どものようだ。
「景色も良くて、部屋の雰囲気も落ち着いてて最高ですね…。あっ!この茶菓子、すごく美味しいって有名なやつだ…!」
「ふぅん。…旅館の菓子は温泉に入る前に血糖値を上げる為らしいが。気に入ったなら俺の分も食べていいぞ。」
「わぁっ!浴衣だぁ…っ!可愛い〜!ちゃんと二人分ありますよ!」
「あぁ。お揃いだな。後で着よう。」
「律さん、見てください!部屋の外に露天風呂があります…っ!!」
「ほんとだ。後で入ろうな。」