このお見合い、謹んでお断り申し上げます~旦那様はエリート御曹司~
ドンガラガッシャーン!!
激しい雷に打たれたような衝撃が身体中を駆け巡った。
ーー彼は、今なんと言った?
お見合いは破談にはなっていなくて、私を嫁にすることは譲れない?
さも決定事項のようにしれっと、している彼。動揺と混乱が収まらない私は、額に手を当てながらおずおずと尋ねる。
「えっと…。榛名さんこそ、何か勘違いされているのでは…?貴方のような大財閥の御曹司が、私を結婚相手として選ぶなんて、どう考えてもおかしいです。」
「?なぜ?」
「“なぜ”って…、釣り合わないじゃないですか!榛名さんは聞いていなかったかもしれませんが、実はウチ、多額の借金があるんです…!榛名さんのご家族や親戚だって、納得しないと思いますけど?」
「借金のことは承知の上だ。俺が支払えば問題ない。それに、百合は“旧家の出”だろう。家柄に問題ないなら、ウチの親族に文句を言わせる気はない。」
「っ?!」
待って。思考が追いつかない。
つまりこのハイスペック御曹司は、全てのリスクを負った上で私と結婚しようとしてるってこと?
そんなうまい話、あるわけがない。シンデレラじゃあるまいし。
ーーすっ。
距離を詰める彼。
長い指が私の髪をとき、指を絡める。その優しい仕草は、どこかの国の王子様のようだった。
「これからどんなことが起ころうと、俺が何に代えても守ってやる。お前の抱える借金も、全部肩代わりして払ってやる。
ーーお前はただ、俺の“嫁”になるだけでいい。」