このお見合い、謹んでお断り申し上げます~旦那様はエリート御曹司~
我儘を聞かせて
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ーーピチチチ…
優雅な小鳥の鳴き声。
むくり、とベッドから起き上がると窓の外は快晴だった。…ついに、今日は待ちに待った土曜日。一つ歳をとった実感はイマイチ湧かない。
ピロリン…♪
小さくスマホの通知が鳴る。
ロックを開くと、それは紘太からのSNSのようだ。
“おめでと”
短い文だが、毎年しっかり送ってくれる。くすり、と笑って返事を打っていると、溜まっているメッセージの中に“彼”のトークがあることに気がつく。
“誕生日おめでとう☺︎十六時に迎えに行く”
(律さん、クールな見かけによらず、ちゃっかり絵文字とか使っちゃうタイプなんだよなあ…。)
しかも、その時刻は零時ちょうどだ。さすが抜かりない。ぐっすりと夢の中にいた自分が少し申し訳なく感じた。
ふぁ、とあくびをしながら洗面所へ向かう私。普段の休日はお昼過ぎまでゴロゴロと惰眠をむさぼるところだが、今日は違った。
寝起きの顔をぱちゃぱちゃと洗い、昨日までにはなかったニキビがないかどうか念入りにチェックをする。…化粧品もヘアアイロンも、準備は万端だ。年甲斐なく浮かれてる自覚はあるが、今日くらいは許してほしい。
やがて食パンとコーヒーで軽い朝食をとり、いそいそと鏡の前に立った私は、昨夜あれこれと引っ張り出しては放り投げを繰り返し決めたワンピースを体にあてがった。
(…変じゃないかな。これなら、浮かないよね?)