このお見合い、謹んでお断り申し上げます~旦那様はエリート御曹司~
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「り、律さん、ここって…」
ーースマートな運転に身を任せること数十分。
私は律さんに連れられて、綺麗に磨かれた“ガラスケース”の前に立っていた。目の前に並ぶのは、煌びやかな“アクセサリー”。格式高い品が漂う店内は、私が足を踏み入れたこともないブランドばかりだ。
律さんは、キラキラと輝くアクセサリーを見ながら口を開く。
「この前のクルージングで、百合にネックレスだけ渡しそびれただろう?」
「そのためにわざわざここに寄ってくれたんですか…?!」
「あぁ。壊れたものの代わりに、好きなのを選べ。」
さらり、とそう告げる律さん。
ーーあのクルージングの夜。借りたドレスや小物は全て律さんからのプレゼントだと聞き、言葉を失った私。流石にタダで貰うのは申し訳なくて日笠さんに返して帰ったのだが、後日、“付き合ってくれたお礼に”と、全部家に郵送されてきたのだ。サンタさんにしてはセレブすぎる。
律さんは、私が、叔父の真人と揉み合った時に壊れたネックレスのことをずっと気にかけていたらしい。
「あのネックレスが壊れたのも、俺が百合の元にすぐに駆けつけられなかったから起きたことだ。…百合はこうでもしないとこの店に付いてきて来れなさそうだったからな。」
「…!わざわざ買っていただくなんて…今日のコンサートだけでも十分なのに…」
「今日は百合の誕生日だろ?俺にも何か贈らせてくれ。遠慮していると時間がなくなるぞ?」