こんな気持ちがあることを私は知らなかった。
私と秋には大きな問題があった。
秋は大した問題だとは思ってないかもしれないけど、私にとっては大問題だった。
こんな風に言葉では言ってくれても、満たされなかった。

秋が私を抱いてくれなくなったのは、結婚する少し前ぐらいから。
あの、何気ない日常だと思っていたあの日から。
秋と私は今日まで行為をしていない。

秋があの日とても申し訳なさそうに言ったから。


『ごめん。俺、今まで言えずにいたけど、こういうことするのあんまり好きじゃないんだ。』


私は、とても傷ついて、そんな自分が嫌だった。
秋がそれを望むなら、そのくらい我慢できる。
そう思ったけど。
そういう行為でしか愛情を感じられないと思われたくなかったから、それに秋のことが好きだったから。
秋が私を甘やかそうとしてくれる度に私は辛くなった。


私の身体は疼いていた。
神田侑真が私の脳を支配して、私の身体を疼かせていた。
でも、ダメ。
こんなに私を愛してくれている秋を裏切れない。


心配する秋をなだめてリビングに残して、私はキッチンに立った。
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