Q.I(きゅうあい)~短気で無垢で、天使な君を~

「これから例の軽音部でミーティングってヤツがあってさ。ミーティングして弁当食いながらノートも写そうかなーと思って」

「──え、ちょ、待っ……」

「そぉなんだー。文化祭近いもんねー。頑張ってねーん」

「おー、ありがとーん」

 香苗ちゃんの激励に手を振り返すと、目の端で何故か慌てて席を立つ柚葉が映った。

「ちょ、やだ、待ってよ、お弁当食べながらとかやめて!」

 言うや否や、半身廊下に出る俺を引き止める柚葉。

「え? 何が? 何で?」

 きょとんと聞き返す俺。

「ミーティングしてお弁当食べながらノート写すとかどんだけ片手間なのよ! そーゆーのやめてよ、絶対ノートに飲み物こぼしたりご飯粒つけたりとかするんだからあんた!」

「え?」

 俺は二歳児ですか?

 ただぽかんとする俺に、柚葉は一方的な言い掛かりをつけ、挙げ句──。

「やっぱダメ。ノート返して」

「えー!」

 詰め寄ったまま、ノートを奪い返そうと手を伸ばした。

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