近くのカフェのイケメン店員を「兄です」って言いたい
「ねえ坂口さん、昨日カフェの入り口で大学生と話してたよね?」
話しかけてきたのは、話したこともない女子5人だ。名前は...分からない。
「そうかも。」
「あの人、彼氏?」
「かっこ良すぎない?」
「そんなわけないよ。」
「坂口さんだもんね。」
みんな、自由に喋りすぎだ。質問しといて答え聞かないパターンか。というか、最後の言ったの誰だ。
「で、どうなの?」
やっぱり学校は、苦手だ。このクラスは女子の威圧が強い。
『お兄ちゃんだよ!』
心の中の私がまた叫んだ。
そう言えたら、私はたちまち、クラスの人気者だろう。
「どうだろうね。」
「あなたのことは別に知りたくない。」
「そうそう、あの大学生のことだけ教えてくれれば」
「ああ、うん。」
否定も肯定もせず答え、移動教室に向かった。わたしは彼女たちの話に、全く興味がなかった。
彼女たちもわたしには、全く興味がないのだ。