近くのカフェのイケメン店員を「兄です」って言いたい
「菜月ちゃん、今日元気ないっすね。」
「そうね、学校で何かあったのかな。聞いておいでよ、たつ。」
「そうっすね。」
「やけに素直ね。こう見えて実は心配してんのかな?」
「心配に、決まってるじゃないすか。」
「あんまり...突っ込みすぎるんじゃないよ?」
「分かってます」
厨房の会話、小さい声でもレジに丸聞こえだ。...好きな人から心配されて、嬉しいと思ってしまう。足早な足音が聞こえてくる。
「菜月ちゃん、もう休憩とっていい時間じゃない?」
「そうですね、休憩とってきます!」
心配してもらえるのは嬉しいけど、好きな人に心配はかけたくない、かな。
笑顔で答えて、スタッフルームに入った。
しばらく仮眠を取っていると、足音が聞こえてきた。
「菜月ちゃん?入って大丈夫?」
瀧川さん?
「はい!」
「菜月ちゃん何かあった?」
「いえ、全然...」
「なんかあったら言えよ。なんかあってシフト休まれると困るんだよ。俺が。」
ツンデレだなぁ...。こういうことを紙を書き上げながら本当に困ったようにいうんだから、ずるい。
そして、何気なく淹れたてコーヒーを持ってくるところも、ずるい。
「瀧川さん、私少し嫌なことがあって。
でも、瀧川さんのコーヒー飲んだら、そんなの忘れました。」
「よかった。」
そういうと、またレジのほうに戻っていった。瀧川さんは、笑顔がないだけで、案外優しい人なのかもしれない。