小さな春に彩りを
「……まず、僕の家は、母、父、兄、僕の4人家族だったんだ」

春陽は、うつむきながら話を始めた。

「僕は、両親からずっと無視をされていた。兄ちゃんだけを可愛がっていたんだよ。兄ちゃんだけ、欲しい物を買ってもらってて、僕の場合は『ダメだ。我慢しろ』って言われてた……本当に、兄ちゃんが羨ましくてさ……『春陽、大丈夫?僕のを分けてあげるよ?』って小さい頃に兄ちゃんから分けてもらってたよ……」

「兄ちゃんは、本当に優しくって……僕が困ってたら、助けてくれたし、食べ物の半分を僕にくれたり。僕の唯一の心の支えだったんだ。両親からは愛されなかったけど、兄ちゃんからは、愛されたかな……それに、高校では、いじめられてたの……僕の家庭環境を知る友達が主犯だった。友達のことを信頼してたのに、裏切られた」

「『あんたと友達になった俺がバカだった』って……『お前と友達にならなきゃ良かった』って……言われ続けた。先生も見て見て見ぬふりでさ。しばらくの間、信じるのが怖かった。また、裏切られるんじゃないかと思うと……兄ちゃんにも話せなくて、ずっと1人で悩んでた。そんなある日、兄ちゃんにバレてしまって『何で俺に相談しなかった』って泣きながら怒られた……兄ちゃんとは違う高校に通ってたから」
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