小さな春に彩りを



春陽を追いかけて着いた先は、驚くほど綺麗な場所だった。地面は雲のように白くて、空は海のように青くて、美しい。

春陽は、無言でさらに前へ、時々私の方を振り向きながら歩いていく。無言で付いていくと、水に囲まれた広場に出た。

その中心には、白いローブを着た、腰辺りまで伸びた銀髪を下ろした女性が微笑んで立っている。

「女神様、桃瀬 春陽です」

春陽の言葉に、私は驚いた。女性は、私を見つめ、春陽に目を移す。

「その子、死神になる素質がありますね……それと、その子に説明してあげなさい。あなた……何も説明をしていないでしょう」

女性の言葉に、図星を突かれた春陽は「……はい」と小さく返事をして私の方を振り返った。

「そう言えば、名前を聞いてませんでしたね」

「……私は、咲村(さきむら) 彩羽。高校2年生です」

「高校2年生!?まさかの同級生か……」

「え……?」

私は、春陽の言葉に驚く。見た目的に、中学生ぐらいかと思ってた。

「説明を続けるよ」

春陽の話をまとめると、ここは死神の住まう場所で「天界」と言う。天界を治めているのは、この女神様。死神は、優しい心を持っている人がなれるという。

そして、死神も転生し、死神だったことを忘れて、新たな人生を歩むことになる。死神をやる期間は、1年と決まっている……らしい。
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