小さな春に彩りを
「この花は、咲良の友達からの贈り物。……来てやれなくてごめんね。仕事の都合さ……なんてね。本当は、咲良が死んだって聞いて、ずっと落ち込んでた。このぬいぐるみが、うちの手元に来た時、すぐにここに来るべきだ、とは思っていたよ」

「でも、それが出来なかった……これで、咲良がいない悲しみや苦しみを抑えているようなものだったから……でも、うちは要らないから咲良に返す……ありがとう。うちの子として生まれたてくれてありがとう」

何回も「ありがとう」と言いながら、咲良ちゃんのお母さんは、立ち上がる。

「……ママ。私の方こそありがとう!」

咲良ちゃんは、笑いながら泣いていた。だんだんと咲良ちゃんの姿が薄れていく。

「春陽お兄ちゃん、彩羽お姉ちゃん。ありがとう……私の無くしたものを探してくれて」

咲良ちゃんが言い終わると同時に、咲良ちゃんの姿は、完全に消えていった。

「……成仏、出来たみたいだね……」

春陽は、空を仰ぎながら呟く。

「それにしても、すごいね。一発目から満点の行動だよ」

空を仰いでいた春陽は、私に笑顔を向ける。その可愛らしい春陽の笑顔に、私の胸が高鳴った。
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