守りたいから隣にいろ〜幸せな命令〜

「無理するな。……泣け」

いつもとは全く違う優しい声に、秋葉は驚きながらも涙を止めることはできない。そのまま秋葉は泣き続け、フランツは秋葉の背中をさする。

「Tut mir leid（ごめんなさい）」

そう泣きながら秋葉が言うと、フランツは「Das muss es nicht（気にするな）」と優しく秋葉を抱きしめる。秋葉は嫌だとは思わなかった。ただ、フランツの温もりに少しずつ落ち着いていく。

フランツは、秋葉が落ち着くまでずっとそばにいてくれた。その優しさに秋葉は頰を少し赤らめた。



次の日、秋葉はいつもより早く学校へ向かった。

昨日はフランツにきちんとお礼が言えなかった。フランツはいつも早く学校へ行く。友達が来る前にお礼を言っておきたい。

秋葉は少し緊張しながら教室へと向かう。すると、数人すでにいた生徒たちが一斉に秋葉の方を向いた。

「ねえ、秋葉！あることが噂になってるの！」

「噂？」