守りたいから隣にいろ〜幸せな命令〜
秋葉は嫌な予感がして聞き返す。クラスメートは言った。

「昨日、あなたとフランツが抱きしめ合ってたって。あなたはフランツと付き合ってるの?」

「いやいや、ないでしょ!!だってあのフランツだよ?いくら顔がよくてもあの性格じゃさ〜……」

「告白されてもお断りよ〜」

「だよね〜」

秋葉が答える前にクラスメートたちは勝手なことを言って笑い合う。

秋葉が視線を感じて振り向くと、そこにはフランツがいた。いつものように本を広げているが、その目は秋葉をしっかりと見ている。しかし、いつものように冷たい目ではなく、「放っておけ」と言いたげなものだ。

その時、秋葉が胸に感じたのはいつもよりももっとひどい痛みだった。勝手なことを言って笑っているクラスメートに対して怒りが込み上げてくる。

前の秋葉なら、クラスメートの言葉に頷いていたかもしれない。しかし、フランツが冷たく言っていた言葉の意味を理解した今では、フランツがそんな人ではないと否定することができる。
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