人生の続きを聖女として始めます
「……もうどうでもいいです。じゃあ、また夜にお会いしましょう」

「え、あっ……えっと……」

少しツーンして言ってやると、何故か獅子王が狼狽し、その後ろでガブリエラが口を押さえて笑っている。
更に後ろでロシュとドレイクが声を出さずに笑いを堪えていて、レーヴェは何が起こっているかわからず目をぱちくりさせていた。

「さぁ、レーヴェ。行きましょうか?」

私はレーヴェを促し、そそくさと扉を出た。
レーヴェは一度、獅子王を振り向いて丁寧な挨拶をし、先に行っていた私と急いで手を繋ぐ。
エスコルピオもその後ろから何の表情も浮かべず私達に続いた。

残された獅子王がどんな表情をしていたかは全くわからない。
私はレーヴェと帰りながら、少しだけ反省した。
何だかすごくイライラして、言いすぎてしまったかもしれない。
そのイライラの正体がわからないまま、狼狽した獅子王の顔が私の心の中に残っていた。
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