人生の続きを聖女として始めます
ジュリがやってきた意味?
腹を割って話す?
言われたことを反芻しながら、ふとジュリを思い浮かべる。
彼女は、寄ってくる女どもとは全く違っている。
それは、最早種族が違うのか、というくらいの決定的なものだ。
例えば今日のチェス勝負の時、望みを一つ聞いてやる、と言ったオレにジュリは「レーヴェと共に居たい」と言った。
レーヴェと共にいる……それは、母親になりたいということだろう?
つまりオレと結婚するということだ。
結局、聖女も他の女と同じで、妃になりたいだけかと思ったが……聞くとそれは全否定された。

「妃にはなりたくありません!」

なんだろうな、この敗北感は。
まるで、オレのことなど眼中にない!そんな風に聞こえてショックを受けた。
この5年間、たかが女一人の言動に、心が揺らぐことなどなかったのに、ジュリはそれを軽くやってのけた。
その姿に、言動に、仕草に、いとも簡単に揺さぶられてしまうとは。
聖女とは何なのか。
救うというが、一体どうやって国をオレを救うと言うんだ?
救われることを望んではいないが、ジュリの、聖女のことをもう少し知りたい、そう思う自分も確かにいることにオレは気付き始めていた。
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