人生の続きを聖女として始めます
「ジュリ様、実は星見の宴自体、ここずっと行われていないのですよ」

「えっ!?そうなの?だってガブリエラ、いかにも普通に言うから恒例行事だと思ったじゃない!?」

「ははは。すみません。どうしても、陛下が開くって言うもんだから……あ、噂をすれば来ましたよ?」

ガブリエラがヒョイと体を反らすと、すぐ向こうに見えたのは獅子王だ。

「良く来た」

ランプのぼんやりとした明かりの中にあっても、存在確認が出来るほど神々しく輝く姿に一瞬見惚れた。

「あ、はい。こんばんは陛下」

「こんばんは。父上様」

練習場でのことを少し悔いていた私は、出来るだけ穏やかに挨拶をし、レーヴェは恭しく頭を下げた。

「ああ。いい夜だ」

どうやら獅子王の機嫌はいいらしい。
練習場での私の態度に怒っている様子もなく、固い表情だけど微かに微笑んでいる。
いつもと違い穏やかな獅子王に目を奪われていると、突然、ガブリエラがレーヴェに言った。

「レーヴェ殿下、私とあちらで寝転がって星を見ませんか?お菓子も御用意しておりますよ?エスコルピオもどうかな?」

ガブリエラの提案が最初は良くわからなかったレーヴェは、一瞬ハッとした顔をすると即座に頷いた。

「………あ、ああ!はい!エスコルピオ、一緒にいこう!」

「は……え……しかし……」

「エスコルピオ!!行くよね?」

「は、はぁ……」
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