人生の続きを聖女として始めます
押し切られたエスコルピオが歯切れの悪い返事をした。
寝転がって星を見るなんて、素敵じゃない!
私も混ぜてもらおう、と声を掛けた。

「楽しそうね!じゃあ私も……」

既にガブリエラと移動しようとしていたレーヴェを追いかけ、クルリと体を反転させた途端、私の腕を獅子王がそっと掴んだ。

「オレがお相手しよう」

「…………はい?」

「不満かな?」

「……不満というか……お相手って何のですか?」

怪しい、怪しすぎる……私は一歩後ずさった。

「うーん……そうだな。いろいろだ。夜空の星の説明とか……」

獅子王は言い淀んで頭を掻いた。
王自ら、星の説明をしてくれるんだろうか?
嫌いな聖女に?何か裏があるんじゃないの?
暗闇に乗じて殺されたりしないわよね?
私は不信感一杯の目で獅子王を見た。
でも、見るからに困惑して落ち着きのない彼からは、陰謀の匂いは少しも漂って来ない。

「説明……なるほど。はい、説明ならお願いします」

「そうか!では、こっちに来い」

言うとすぐに、獅子王は私の手を引きぐんぐん歩き始めた。
虎穴に入らずんばなんとやら。
何か思惑があっても、飛び込まないとわからないもんね。
促されるままに、私は獅子王の後をついていった。
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