人生の続きを聖女として始めます
「は………それは……ジュリが、妻……マデリンだと……お前達もそう思っていると言うことか?」

「はい。まぁ、そこには希望的観測も含まれていましたが……陛下がそう思うならば、この考えは間違っていないのでしょうな」

ドレイクは然程驚かずに言った。
ロシュもガブリエラも、顔を見合わせてそれを肯定する。

「いや、でも常識的に考えてこんなおかしな話があると思うか?」

「おかしいも何も。聖女召喚自体、常識的じゃないでしょう?異世界から時空を超えてやって来るなんて」

「まぁ、確かに、な」

ガブリエラに言われ、オレもそう考えていたことを思い出した。
マデリンにせがまれ、ラシャークの手記を読んだ時も、こんなバカなこと実際にあるはずないと思っていたのだ。

「バロンスも言っておりました。奇跡はあると。陛下の為に、世界が、神が、ジュリ様を呼んだのではないでしょうか?」

その時、オレの中の怒りにフッと火がついた。
奇跡や世界や神。
それらについて語られるのを、オレは酷く嫌悪しているからだ。

「世界?………神だと?……オレはそれらを信じないと言っているよな?」

「ですが陛下、奇跡は………」

オレの顔を見て、ガブリエラは凍りついた。

「くどい!!世界や神が何をしてくれる!?この話は終わりだ。2度とオレの前でその話をするな!」

そう言って執務室を出ようとするオレの後ろでは、3人の深い溜め息が聞こえていた。
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