人生の続きを聖女として始めます
執務室を出てから、私は早足で廊下を駆け抜けた。
ここに、エスコルピオがいれば、挙動不審な様子をいぶかしむかもしれないけど、幸い今日はレーヴェの護衛で私は一人だ。
「もう……困る……」
そう呟くと、ぶあっと汗が吹き出した。
緊張が解けた体は、それが緩んだ途端素直に気持ちを著したのだ。
何度思い出しても鮮明に思い出せる、レグルスとの出会い。
あの瞬間はかけがえのないもので、今でも私の宝物。
だからこそ、そこで聞くのが怖かった。
獅子王がレグルスだとしたら、私はどういう顔をして彼と会えばいいのか。
なんと説明すればいいのか。
マデリンの記憶はあるけど、見た目全くの別人で、出戻ってきた聖女だなんて……元の世界ならカウンセラーを紹介されるわ……。
考え事をしながら、王宮の廊下の角を曲がると、バッタリ厨房の女中と出くわした。
「あら!聖女様!!」
「あ、おはよう!お疲れ様ー」
その女中はミーシャと言って、厨房の中では最年少だ。
また噂好きで、王宮で密やかに囁かれる噂の大元は大体彼女だと、エスコルピオが嫌そうに語っていたのを思い出した。
ミーシャは大きな篭を抱き締めるように持ちながら、目をキラキラさせて近付いてくる。
ああ、これ何か噂を仕入れたんだ、と私は身構えた。
ここに、エスコルピオがいれば、挙動不審な様子をいぶかしむかもしれないけど、幸い今日はレーヴェの護衛で私は一人だ。
「もう……困る……」
そう呟くと、ぶあっと汗が吹き出した。
緊張が解けた体は、それが緩んだ途端素直に気持ちを著したのだ。
何度思い出しても鮮明に思い出せる、レグルスとの出会い。
あの瞬間はかけがえのないもので、今でも私の宝物。
だからこそ、そこで聞くのが怖かった。
獅子王がレグルスだとしたら、私はどういう顔をして彼と会えばいいのか。
なんと説明すればいいのか。
マデリンの記憶はあるけど、見た目全くの別人で、出戻ってきた聖女だなんて……元の世界ならカウンセラーを紹介されるわ……。
考え事をしながら、王宮の廊下の角を曲がると、バッタリ厨房の女中と出くわした。
「あら!聖女様!!」
「あ、おはよう!お疲れ様ー」
その女中はミーシャと言って、厨房の中では最年少だ。
また噂好きで、王宮で密やかに囁かれる噂の大元は大体彼女だと、エスコルピオが嫌そうに語っていたのを思い出した。
ミーシャは大きな篭を抱き締めるように持ちながら、目をキラキラさせて近付いてくる。
ああ、これ何か噂を仕入れたんだ、と私は身構えた。