人生の続きを聖女として始めます
そのまま、休むことなく南館へ走りレーヴェの部屋に飛び込むと、エスコルピオがビクッとして臨戦態勢をとった。
だけど、飛び込んで来たのが私だと分かると、臨戦態勢を解き今度は目を丸くした。

「ジュリ様!?どうしました!?」

「お、お母様!?」

エスコルピオの叫びに、レーヴェが勉強の手を休め走り寄ってくる。
飛び込んでそのまま、へたりこんでしまった私の膝に手を添え、レーヴェは心配そうに覗き込んだ。

「どうしたのですか?……何かあったのですか?」

「レーヴェ……」

そう呟いてレーヴェを抱き締める。
すると、暖かい体がブリザードを沈めていき、合わさる鼓動が混乱を消した。

「何かあったのですね!?言って下さい!お母様を悲しませるなんて許せない!!そうだよね!エスコルピオ!!」

突如レーヴェが怒りを露にし、エスコルピオを振り返る。

「当然です。今すぐ粛清に行きましょう!誰ですか?獅子王ですか!?」

そして、エスコルピオは剣を抜く。

「え!ちょっと……ちょっとまって!獅子王も粛清対象なの!?」

びっくりし過ぎて、思考が飛んだ。
殺る気満々のエスコルピオは、仮面の上からでもわかる殺気を放った。

「勿論です!誰であろうと、ジュリ様とレーヴェ殿下を悲しませる者を生かして置くわけには行きません。死んでもらいます」

エスコルピオの断言に、レーヴェが強く頷いた。
えーと……それ、反逆罪に問われない?大丈夫なの?
このとんでもないエスコルピオの決意に、私の中のいろんな負の感情は綺麗さっぱり無くなった。
バカらしい……と、思ってしまったからだ。
ここにこうして、味方になってくれる人がいるし、守らなければならない愛しい子供がいる。
母は下らないことで悩んでいる暇なんてないんだから!
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