人生の続きを聖女として始めます
食堂で食事を済ませ、私は亜果利や他の部員とともに屋外練習場へと移動した。
聖フィオーナ学園アーチェリー部は部員が30人いて、全国的にみても実力のある人が多く在籍している。
去年の高校総体では準優勝し、爆発的に部員が増えた。
その功労者は間違いなく私と亜果利。
2人とも小さい頃からアーチェリーを始めていて、実力は別格だったからだ。
彼女が始めた理由はわからないけど、私が幼少からアーチェリーを始めたのには明確な理由がある。
極めて高い集中力が必要なアーチェリーという競技は、あの悪夢を忘れるのには最適な手段だったのだ。
「相変わらず、ブレないね」
矢を放ったあと、後ろから声がかかる。
先に休憩をとった亜果利だ。
「そう?あまり考えないようにしてるからかな?」
「無心か……いつも思うけど、樹里は精密機械のようだね。的を狙っている時はサイボーグみたい」
「サイボーグ……絶対ほめてないな……」
呆れ顔の私に、真剣な顔で亜果利が言った。
「何か大事なものを、どこかに忘れてきた……そんな感じなんだよなぁ……」
「………何それ?」
「いや、私にもよくわかんないんだけどさ……」
亜果利の顔にはどこか困惑が見えた。
でも、それは私自身も感じていたことでもある。
自分にとって何か大切なものを、どこかに置き去りにしている……それがない今の私は、機械のように日々を繰り返し生きてるだけなんじゃないか。
と。
聖フィオーナ学園アーチェリー部は部員が30人いて、全国的にみても実力のある人が多く在籍している。
去年の高校総体では準優勝し、爆発的に部員が増えた。
その功労者は間違いなく私と亜果利。
2人とも小さい頃からアーチェリーを始めていて、実力は別格だったからだ。
彼女が始めた理由はわからないけど、私が幼少からアーチェリーを始めたのには明確な理由がある。
極めて高い集中力が必要なアーチェリーという競技は、あの悪夢を忘れるのには最適な手段だったのだ。
「相変わらず、ブレないね」
矢を放ったあと、後ろから声がかかる。
先に休憩をとった亜果利だ。
「そう?あまり考えないようにしてるからかな?」
「無心か……いつも思うけど、樹里は精密機械のようだね。的を狙っている時はサイボーグみたい」
「サイボーグ……絶対ほめてないな……」
呆れ顔の私に、真剣な顔で亜果利が言った。
「何か大事なものを、どこかに忘れてきた……そんな感じなんだよなぁ……」
「………何それ?」
「いや、私にもよくわかんないんだけどさ……」
亜果利の顔にはどこか困惑が見えた。
でも、それは私自身も感じていたことでもある。
自分にとって何か大切なものを、どこかに置き去りにしている……それがない今の私は、機械のように日々を繰り返し生きてるだけなんじゃないか。
と。