人生の続きを聖女として始めます
「ビクトリア様が仰っていたぞ?獅子王陛下はそれはもう激しくビクトリア様を抱いたのだそうだ」

「なっ!?」

うげ………一体何のつもり!?
私が眉根を寄せたのを見て、身ぶり手ぶりもつけて、より官能的にノーラは語る。

「己の怒りや悲しみ、欲望の全てをぶつけるように激しく激しく、何度も何度も……」

「もういい!!時間の無駄だ!!ジュリ様行きましょう!!」

エスコルピオはそう叫ぶと、サッと踵を返し扉を潜る。
彼の怒りのメーターは振り切れていた。
このままここにいたら、きっとノーラを殺すだろう、それほどの怒りに満ちていた。
私も頷きエスコルピオに続いた。
どうにも気分が悪く、こんな所に一秒も居たくなかったからだ。

「おや、もう宜しいので?」

後ろからノーラの声がし、その直後首筋に微かな痛みを感じた。

「イタッ!……何?」

押さえてみると、細い針のようなものが刺さっている。
小さな叫び声に、エスコルピオが慌てて首筋を見る。
針?何で針が??
私はエスコルピオを見上げて首を傾げた。
けど……傾げたまま体はグラッと傾き沈み込む。

「ジュリ様!?ジュリ様ーー!!」

ずっと目でエスコルピオを捉えてはいたけど、体の自由は全く利かない。
彼が叫んでいる声をどこか遠くで聞きながら、私は意識を手放した。
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