人生の続きを聖女として始めます
「それを毒矢にして……か。聞いても答えないだろうが……何の毒だ!?」

「あはは、知ってるなら聞くなよ。死んでも言わない。こっちだって覚悟は出来てるんだ!」

不敵に笑うノーラに、ロシュ将軍は舌打ちをした。

「覚悟が出来てるなら丁度いい。今すぐ死ね」

目の前でサッと短剣を構えたノーラに、私は力の限り剣を振り下ろした。
ノーラは素早く短剣でこちらの脇を狙ったが、それを脇で挟み動きを封じる。
そうすれば後は簡単だった。
動きを封じてしまえば、力の差は歴然。
私は体を捩りながら、ノーラの首に剣を当て、そのまま力業で刃を食い込ませてゆく。

「ぐ…………ぐっ………がっ……は……」

めり込んでいく刃から血が溢れ、ノーラはやがて目の光を失くし、ダラリと床に崩れ落ちた。

「お見事、エスコルピオ。さて、急がないとな?ええと、さっきの話じゃルイスも毒を持っていると思うんだが」

「はい。恐らく何か身につけるものに……」

解毒剤を作るには、元の毒があると随分時間が短くて済むという。
ルイスの遺体をロシュ将軍とくまなく探すと、右手の中指に嵌めた大ぶりの指輪を見つけた。
石の部分はどうやら空洞になっていて、少量の毒を隠すには打ってつけだ。
私は中身を開けて確かめてみた。

「これだ。ロシュ将軍、これを持って陛下を追いますっ!!」

「よしいくぞ!!」
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