人生の続きを聖女として始めます
「聖女。どうやら、君の息子も加勢に来たらしいぞ?」

「は?レーヴェ?レーヴェが?」

「耳を澄ましてみろ……聞こえるだろう?」

ルリオンの言う通りに、暗闇の中、耳を澄ます。
すると、深淵から聞こえたのは悲痛に叫ぶレーヴェの声だ。

「お……母……様っ!!………」

何を言っているのかは良くわからない。
でも、私を強く呼んでいるのはわかる。

「レーヴェが呼んでるわ……ルリオン、私帰らないと!!どうしても帰りたい!!」

「もちろんだよ。その為に私は君を留めたのだから」

「留めた?」

「天へ帰らないようにさ……君の前世の最後はとんでもなく不幸だったけど、今度はそうはさせない」

「ルリオン……」

「幸せになってくれ。レグルスを頼む。救ってやってほしい」

ルリオンはそう言うと、自分の手を私に差し出した。
その手を掴み握り返すと、体はストンと下に落ちる。
闇の深淵へと滑り落ちる途中で、確かに感じたルリオンの思いを、レグルスへ伝えなければと思っていた。
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