人生の続きを聖女として始めます
「ジュリ!!」

「お母様っ!!」

………どうやら、私は生還したらしい。
そして、目の前の2人の様子から、生死の淵をさまよったんだな、と理解した。
うーん、転生するわ、転移するわ、臨死体験するわ……もうありとあらゆるファンタジーを体験してるんじゃない?

「あ………あの、どうもご迷惑をおかけしたようで……」

畏まって言うと、獅子王が見たことのない微笑みで手を握り優しく言った。

「いや、良く帰ってきてくれた。本当に良かった……」

その変わりように目を丸くしていると、今度はレーヴェがすがり付いて目を潤ませる。

「お母様っ……僕……僕……」

それ以上言葉が出て来ないのかレーヴェは言葉を詰まらせた。

「ごめんね……心配かけて」

そう言うと、レーヴェの潤んだ瞳から堪えていた涙がポロポロ溢れ始めた。
大人びているけど、やっぱりこういう所まだ子供なんだ。
その頬を伝う涙を拭い、一生懸命泣いてない振りをするレーヴェを私と獅子王は暖かく見つめた。
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