人生の続きを聖女として始めます
獅子王は皆を見回して言った。
すると、ガブリエラはリブラの肩を叩き外へと促し、ロシュとドレイクは頷いて、バロンスは静かに頭を下げた。

「レーヴェ……お前も……すまないが……」

「はい……あの、父上様……」

「何だ?」

レーヴェは言いにくそうに口をすぼめながら、それでもはっきりと言葉にした。

「……お母様を……苛めないで下さいね」

「ははっ、苛めるものか!大事な人だもんな?」

「は、はいっ!」

不安そうだったレーヴェは笑顔になり、皆の後を追った。
そして、部屋には私と獅子王の2人きり。
何故か急に優しくなった彼の狙いがわからず目を泳がせた。
でも……獅子王はレグルス。
それがはっきりわかった今、私はもう彼から逃げてはいられない。

「聖女ジュリ。君が本当は誰か知っている」

「え………」

今……なんていった?
レグルスは私がマデリンだと知っているの?

「だがそれを話す前に、聞いて欲しいことがある。オレの話だ。君とかつて人生を共にした男の、希望と後悔と絶望の話だ………」

そう言うと、レグルスはもう一度私の手を取った。
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