人生の続きを聖女として始めます
レーヴェが生後3ヶ月を過ぎた日の早朝、エルナダ王国より、正式な使者がラ・ロイエにやって来た。
名をバートラム・スタンフォード。
兄ルリオンを支える三大老の一人で侯爵、大きな権力を持ち、三人いる妃の内一人の父親だ。
そして、極わずかしか知らないオレの存在を知っている男でもある。
「レグルス様。お初に御目にかかります。私、バートラム・スタンフォード、獅子王陛下の下で、国防大臣をさせていただいております」
バートラムは恭しく跪くと、豊かなひげを蓄えた口元を弛めた。
「……そんな挨拶はどうでもいい。何用か?オレは王家には何も関係ないし、興味がない。早々に立ち去れ」
「なんと。お顔もそっくりですが、声もそっくりとは……」
「ーーー何が言いたい?」
苦々しい顔をしたオレを、余裕の笑みでバートラムは見る。
その様子には何か嫌なものを感じた。
「それでは、大事なお話を致しましょう……実は……ルリオン陛下の体調が思わしくなく、弟君であられるレグルス様にとても会いたがっておられます」
「……彼は……自分に兄弟がいると知っていたのか?」
内心その話に驚いた。
オレがこのことを知っているのと、彼が知っているのとではわけが違う。
箝口令が敷かれている件を、獅子王に知らせる家臣がいるはずがないのだ。
「……ええ。誰かから聞いたのだと思います。私が考えるに、大神官殿がうっかり漏らしたのではと……」
バートラムは苦々しい顔をしたが、その口元は少し笑っていた。
大神官がそんな大切なことを漏らすだろうか?
獅子王ルリオンに最も信頼が厚いと言われる彼が?
オレはそんなに関心はないが、ラ・ロイエで囚人達がする噂は良く耳にする。
大神官長、国務大臣、国防大臣。
この3人が獅子王の政治の中核であり、中でも人格者の大神官は別格だと……。
一体王宮で……首都では何が起こっているのか……何かキナ臭いものを感じながら、オレはバートラムに尋ねた。
名をバートラム・スタンフォード。
兄ルリオンを支える三大老の一人で侯爵、大きな権力を持ち、三人いる妃の内一人の父親だ。
そして、極わずかしか知らないオレの存在を知っている男でもある。
「レグルス様。お初に御目にかかります。私、バートラム・スタンフォード、獅子王陛下の下で、国防大臣をさせていただいております」
バートラムは恭しく跪くと、豊かなひげを蓄えた口元を弛めた。
「……そんな挨拶はどうでもいい。何用か?オレは王家には何も関係ないし、興味がない。早々に立ち去れ」
「なんと。お顔もそっくりですが、声もそっくりとは……」
「ーーー何が言いたい?」
苦々しい顔をしたオレを、余裕の笑みでバートラムは見る。
その様子には何か嫌なものを感じた。
「それでは、大事なお話を致しましょう……実は……ルリオン陛下の体調が思わしくなく、弟君であられるレグルス様にとても会いたがっておられます」
「……彼は……自分に兄弟がいると知っていたのか?」
内心その話に驚いた。
オレがこのことを知っているのと、彼が知っているのとではわけが違う。
箝口令が敷かれている件を、獅子王に知らせる家臣がいるはずがないのだ。
「……ええ。誰かから聞いたのだと思います。私が考えるに、大神官殿がうっかり漏らしたのではと……」
バートラムは苦々しい顔をしたが、その口元は少し笑っていた。
大神官がそんな大切なことを漏らすだろうか?
獅子王ルリオンに最も信頼が厚いと言われる彼が?
オレはそんなに関心はないが、ラ・ロイエで囚人達がする噂は良く耳にする。
大神官長、国務大臣、国防大臣。
この3人が獅子王の政治の中核であり、中でも人格者の大神官は別格だと……。
一体王宮で……首都では何が起こっているのか……何かキナ臭いものを感じながら、オレはバートラムに尋ねた。