人生の続きを聖女として始めます
「……帰れ。二度と来るな。そして、オレの家族に近づくな!」
「そうは行きません。貴方には私といっしょに来てもらいます」
「断る」
「と、すれば?外に待機させている実働部隊に……ああ、臨時で雇った荒くれ者の集団なんですがね、彼らに貴方の家族を殺してもらいましょうね?心のこりがないように」
「……なっ……」
バートラムは、顔色を変えず淡々と言った。
その言葉を反芻するが、意味をちゃんと理解するまで数秒はかかった。
それほど信じられない言葉だった。
この男は……一緒に来なければ、オレの家族を殺すと……そう、言ったのか!?
「どうします?あまり時間はないですよ?」
「ーーーどうしたいんだ!?」
「どうしたいって……ふふ、大人しく来てくれれば何もしませんよ?」
「それを信じろと?」
「信じるしかないですねぇ?だって、貴方に何が出来ます?名前もない、力もない……大事なものも守れない」
「ふ……ざけるなよ……」
「ふざてけません。私は真剣です。ですから?殺ると言ったら殺りますよ?」
バートラムの様子に戸惑いは見られない。
この男は言葉一つで、オレの家族を……マデリンをレーヴェを子爵家を滅ぼすだろう……。
「わかった……ただ、約束しろ……家族に手を出さないと!!」
「いいでしょう。そうやって、従って頂ける限りは、ね」
顎髭を満足そうに擦り、バートラムはせせら笑った。
ラ・ロイエで、オレは自分の人生を取り戻した気がしていた。
人並みに家族を守れると信じていたが、結局、名のない亡霊にはなんの力もなかったと思い知らされた。
だが、それでも、家族が無事に生きてくれるなら!
それは、最後のオレの希望だった。
「そうは行きません。貴方には私といっしょに来てもらいます」
「断る」
「と、すれば?外に待機させている実働部隊に……ああ、臨時で雇った荒くれ者の集団なんですがね、彼らに貴方の家族を殺してもらいましょうね?心のこりがないように」
「……なっ……」
バートラムは、顔色を変えず淡々と言った。
その言葉を反芻するが、意味をちゃんと理解するまで数秒はかかった。
それほど信じられない言葉だった。
この男は……一緒に来なければ、オレの家族を殺すと……そう、言ったのか!?
「どうします?あまり時間はないですよ?」
「ーーーどうしたいんだ!?」
「どうしたいって……ふふ、大人しく来てくれれば何もしませんよ?」
「それを信じろと?」
「信じるしかないですねぇ?だって、貴方に何が出来ます?名前もない、力もない……大事なものも守れない」
「ふ……ざけるなよ……」
「ふざてけません。私は真剣です。ですから?殺ると言ったら殺りますよ?」
バートラムの様子に戸惑いは見られない。
この男は言葉一つで、オレの家族を……マデリンをレーヴェを子爵家を滅ぼすだろう……。
「わかった……ただ、約束しろ……家族に手を出さないと!!」
「いいでしょう。そうやって、従って頂ける限りは、ね」
顎髭を満足そうに擦り、バートラムはせせら笑った。
ラ・ロイエで、オレは自分の人生を取り戻した気がしていた。
人並みに家族を守れると信じていたが、結局、名のない亡霊にはなんの力もなかったと思い知らされた。
だが、それでも、家族が無事に生きてくれるなら!
それは、最後のオレの希望だった。