人生の続きを聖女として始めます
神殿兵とバロンスが止めるのを、オレは無視して馬を進めた。
ラ・ロイエから出たことのなかったオレには、子爵邸の場所はわからない。
だが、燃えているという情報から鼻を便りに馬を駆った。
だんだんと熱風が肌に絡み、視界が明るくなってくる。
そして、森の木々が完全に視界から消えると、オレの目に飛び込んできたのは、燃える屋敷と大きな樫の木に吊るされた二つの何かだった。
その一つはランドル子爵で、もう一つは、白いドレスを着た……亜麻色の髪の……。
「う…………」
「陛下!!……っ、これは……」
後から追いかけてきたバロンスと神殿兵達が呻き声を漏らした。
「なんという……なんということを!バートラムっ!悪魔の所業ぞ!!……早く、早く下ろして差し上げろ!」
バロンスが狂ったように叫び倒し、神殿兵に命を下す。
大勢の兵が樫の木の下に集り、登ったものが紐を切ってそっと二人を下ろした。
「……陛下……大丈夫でございますか……」
心配そうに声をかけるバロンスに、オレは一言だけ言った。
「一人にしてくれ」と。
そしてオレは2人に近付いた。
「マデリン……ランドル……」
彼女の美しかった髪は煤け、引きちぎられている。
左肩から腰の辺りには体を分断するほどの深い切り傷が。
小さなその体で必死に何かに抗ったのだろう、指先には血が滲んでいた。
「マデリン……マデリン……マデリン!!」
翡翠の瞳ももう何も映さない。
その笑顔ももう見ることは出来ない。
折れそうな細い体を掻き抱き、オレはただ嗚咽を漏らした。
ラ・ロイエから出たことのなかったオレには、子爵邸の場所はわからない。
だが、燃えているという情報から鼻を便りに馬を駆った。
だんだんと熱風が肌に絡み、視界が明るくなってくる。
そして、森の木々が完全に視界から消えると、オレの目に飛び込んできたのは、燃える屋敷と大きな樫の木に吊るされた二つの何かだった。
その一つはランドル子爵で、もう一つは、白いドレスを着た……亜麻色の髪の……。
「う…………」
「陛下!!……っ、これは……」
後から追いかけてきたバロンスと神殿兵達が呻き声を漏らした。
「なんという……なんということを!バートラムっ!悪魔の所業ぞ!!……早く、早く下ろして差し上げろ!」
バロンスが狂ったように叫び倒し、神殿兵に命を下す。
大勢の兵が樫の木の下に集り、登ったものが紐を切ってそっと二人を下ろした。
「……陛下……大丈夫でございますか……」
心配そうに声をかけるバロンスに、オレは一言だけ言った。
「一人にしてくれ」と。
そしてオレは2人に近付いた。
「マデリン……ランドル……」
彼女の美しかった髪は煤け、引きちぎられている。
左肩から腰の辺りには体を分断するほどの深い切り傷が。
小さなその体で必死に何かに抗ったのだろう、指先には血が滲んでいた。
「マデリン……マデリン……マデリン!!」
翡翠の瞳ももう何も映さない。
その笑顔ももう見ることは出来ない。
折れそうな細い体を掻き抱き、オレはただ嗚咽を漏らした。