人生の続きを聖女として始めます
「ああ……お嬢様っ……旦那様っ……申し訳ありませんっ……私がもう少し強ければ……」
「デュマ……犯人はわかっている。オレはそいつを同じ目に合わせてやるつもりだ。いや、それ以上の恐怖を与えてやる。そしてその後、この理不尽な世界も共に葬り去ってやろう」
レーヴェとマデリンを腕に抱き、オレは誓った。
彼女達がいれば他には何も要らないと願ったのに、その必要なものを奪い去り、不必要なものを押し付けてきた世界。
ならば、俺が不必要だと思うものを、この不必要な力で消し去ってもいいだろう?
それで、理不尽なこの世界のバランスが取れるじゃないか。
オレの言葉に、デュマは驚いて顔を上げた。
よく見るとその顔の半分は焼け爛れ、とても酷い状態になっている。
「お前の知っている男はもう死んだ。ここにいるのは獅子王ルリオン。持てる全ての力を持って、この世を滅ぼす者だ」
オレはレーヴェをもう一度デュマに託した。
そして、マデリンを抱きかかえ立ち上がった。
それを見たデュマは、オレのマントの裾を手で掬い取り口にあてた。
「この死に損ないの私の命を、陛下とレーヴェ様に捧げます。いかなる時もお二人の為に!その道を塞ぐものを排除致しましょう」
その不穏な誓いを間近で見ていたバロンスは、神に祈るように暗い天を仰いだ。
彼も、まさかこんなことになるとは思っていなかったのだろう。
それはオレだってそうだ。
想像では、マデリンとレーヴェを伴って首都へ帰り、家族で幸せに暮らすことになっていたのだ。
夢見ていた世界は消えた。
これからオレは夢を見ないだろう。
夢を見るには、絶望が心を占めすぎていたからだ。
「デュマ……犯人はわかっている。オレはそいつを同じ目に合わせてやるつもりだ。いや、それ以上の恐怖を与えてやる。そしてその後、この理不尽な世界も共に葬り去ってやろう」
レーヴェとマデリンを腕に抱き、オレは誓った。
彼女達がいれば他には何も要らないと願ったのに、その必要なものを奪い去り、不必要なものを押し付けてきた世界。
ならば、俺が不必要だと思うものを、この不必要な力で消し去ってもいいだろう?
それで、理不尽なこの世界のバランスが取れるじゃないか。
オレの言葉に、デュマは驚いて顔を上げた。
よく見るとその顔の半分は焼け爛れ、とても酷い状態になっている。
「お前の知っている男はもう死んだ。ここにいるのは獅子王ルリオン。持てる全ての力を持って、この世を滅ぼす者だ」
オレはレーヴェをもう一度デュマに託した。
そして、マデリンを抱きかかえ立ち上がった。
それを見たデュマは、オレのマントの裾を手で掬い取り口にあてた。
「この死に損ないの私の命を、陛下とレーヴェ様に捧げます。いかなる時もお二人の為に!その道を塞ぐものを排除致しましょう」
その不穏な誓いを間近で見ていたバロンスは、神に祈るように暗い天を仰いだ。
彼も、まさかこんなことになるとは思っていなかったのだろう。
それはオレだってそうだ。
想像では、マデリンとレーヴェを伴って首都へ帰り、家族で幸せに暮らすことになっていたのだ。
夢見ていた世界は消えた。
これからオレは夢を見ないだろう。
夢を見るには、絶望が心を占めすぎていたからだ。