人生の続きを聖女として始めます
「あの祝宴の夜は、聖女を遠ざけたかったから……だ。そういう芝居だったんだ」

おっと、今度は例のイチャイチャの件ですね。

「そのわりには満更でもなかったような……?」

「それはない!!吐き気がしていた……実際その後吐いた……」

「え?うそ?ほんと?」

「……情けないが本当だ」

そういえば、昔から繊細なところはあったなと少し納得した。
好き嫌いがハッキリしている所もあったわよね。

「あ。それで、結局懐妊してたの?」

「君は……話を聞いていたか?」

レグルスは丸めた背をグッと伸ばし、私に近付いて大きく溜め息をついた。

「触られて吐き気がするのに、そんなことできると思うか?」

「………思わない。でも、ノーラが言ってたけど、ビクトリアを激しく抱いたとか?どうとか?」

これを言うかどうかは迷ったけど、ちょっとむしゃくしゃして言ってしまった。
何かな、嫉妬かな?

「激しく!?抱い……抱いっ!?……なんてことを……まさかそんなのを信じたとか……」

「さぁね?」

レグルスはやたらショックを受けた顔をした。
いや、あの、ショックを受けたのは私ですよ?
それ、わかってます?

「オレはしつこいんだ!!」

レグルスはドンッと寝台の縁を叩いて言った。
何のことかわからず私はポカンと口を開け、

「は?」

と、一言発した。

「しつこいからな……一生……だだ一人しか愛せないんだ……」
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