人生の続きを聖女として始めます
「お嬢様………」

「デュマ。レグルスとレーヴェを守ってくれてありがとう。これからも頼むね。レーヴェをずっと支えてあげて」

そう言って後ろにいたレーヴェを手招きをした。
私がエスコルピオをデュマと呼んだことに少し混乱していたレーヴェは、辿々しくこちらにやってくる。

「レーヴェ、エスコルピオはね、私の家族みたいな人だったの。だから、レーヴェの家族でもあるんだよ?」

「お母様は、前からエスコルピオのこと知っていたんですか?」

「うん。実は生まれた時からお世話になってます」

「そうなんですか!?……うーん、ちょっと良くわからないです……」

レーヴェは腕を組み、首をもげるくらい傾げた。
それもそうよね。
子爵家の事件を知らず、マデリンのことも知らないレーヴェに、いきなり理解しろなんて、いくら彼が天才でも無理に決まってる。

「ジュリ。それはオレからレーヴェに説明しておこう。マデリンや祖父や祖母のこと……いろいろ男同士で話すこともある……」

「えっ!ち、父上様とですか!?」

レグルスの提案に、レーヴェは目を丸くした。
今まで遠ざけられて来たからね。
当然の反応かも。

「……いやか?」

「い、いいえっ!僕も、お話したいことがたくさんあります!!」

「そうか……うん」

まだ少し不自然な2人ではあったけど、間違いなくその関係は修復されている。
歩み寄っていけるなら、この先、素敵な家族になれるだろう。
エスコルピオと私は顔を見合わせて笑った。
それは、一度失われたもので、ずっと望み続けていたもの。
今確かに訪れた幸せの足音に、私は耳を澄ませていた。
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