人生の続きを聖女として始めます
ビクトリアは強張った表情をすこし弛めた。
だが、次にオレが喋るとその表情は絶望に変わった。
「憎しみという感情がな!スタンフォードが保身のためにルリオンを暗殺したことが事の始まりだ。オレはバートラム・スタンフォードに妻を義父を殺された!何よりも大切な人をだ!!」
「わ、私は何も知らなかった!本当です!陛下を殺すなんて……気付いて欲しかっただけ……私の想いを……」
「気付いて欲しいだと!?その想いを口にしたのか?何かルリオンに訴えたか?ただ黙って自分の不遇を嘆いただけではないのか!?」
「っ…………」
押し黙ったビクトリアは、オレの言葉を沈黙で肯定した。
愚かな父に愚かな娘。
こんな奴らに翻弄される、獅子王のなんと無様なことか。
「知らなかったなんて理由にならない。叱るべき処分を下す。だが、バートラムを捕らえるまでは生かしてやろう、せいぜい人質として役に立て」
「お、お待ち下さい!どうか、お許しを……!」
「……許す?……この世の誰を許しても、スタンフォードは許さない。一族を根絶やしにすると誓ったのだからな」
蒼白な顔のビクトリアをおいて牢を出た。
啜り泣きかと思える声が背後から聞こえ、オレはやれやれと肩を落とした。
悪女を演じるには些か頭が悪かったようだな。
ここでの用事は終わった。
厳重な二重扉の牢獄を出て、オレはまた医務室へと向かった。
だが、次にオレが喋るとその表情は絶望に変わった。
「憎しみという感情がな!スタンフォードが保身のためにルリオンを暗殺したことが事の始まりだ。オレはバートラム・スタンフォードに妻を義父を殺された!何よりも大切な人をだ!!」
「わ、私は何も知らなかった!本当です!陛下を殺すなんて……気付いて欲しかっただけ……私の想いを……」
「気付いて欲しいだと!?その想いを口にしたのか?何かルリオンに訴えたか?ただ黙って自分の不遇を嘆いただけではないのか!?」
「っ…………」
押し黙ったビクトリアは、オレの言葉を沈黙で肯定した。
愚かな父に愚かな娘。
こんな奴らに翻弄される、獅子王のなんと無様なことか。
「知らなかったなんて理由にならない。叱るべき処分を下す。だが、バートラムを捕らえるまでは生かしてやろう、せいぜい人質として役に立て」
「お、お待ち下さい!どうか、お許しを……!」
「……許す?……この世の誰を許しても、スタンフォードは許さない。一族を根絶やしにすると誓ったのだからな」
蒼白な顔のビクトリアをおいて牢を出た。
啜り泣きかと思える声が背後から聞こえ、オレはやれやれと肩を落とした。
悪女を演じるには些か頭が悪かったようだな。
ここでの用事は終わった。
厳重な二重扉の牢獄を出て、オレはまた医務室へと向かった。