人生の続きを聖女として始めます
「で、どうした?まだ軍議の途中だろ?」

「うん。でも大事なことを一つ言っておきます!」

「…………?うん。聞こう」

レグルスは私の前に仁王立ちになり腕を組んだ。
何だろう、この果たしあいみたいな状況……。
仕方なく、私もレグルスの前で仁王立ちになり腕を組んだ。
負けたくなかったからよ!!

「レグルス。あなたが死んだら私とレーヴェはどうなります?」

「どうなるって……どうなるんだ?」

「私はシングルマザーです」

「シ、シングル?なんだって?」

シングルマザーは通じなかった……。

「母一人子一人です……暫くはレグルスを思って慎ましやかに二人で過ごすけど、そのうち寂しくなって新しい夫が欲しくなります」

「新しい……夫……?」

レグルスの顔色が変わる。

「私もまだ若いの!!新しい夫と再出発してもいいでしょう!?」

もちろんそんな予定はまったくない。
と、心の中でほくそ笑む私。
でも、レグルスは新しい夫という言葉に激しく反応した。

「新しい夫??君が他の誰かと再婚??レーヴェが違うヤツを父と呼ぶのか?ダメだダメだ!!絶対にダメだ!」

「だよね?」

「当たり前だ!!」

怒りまくるレグルスに歩みより、ポスンと頭をその胸に預けて私は言った。
ここの押し、重要よ。

「だったら、もっと自分を大切にして。相討ちなんて言わないで!絶対に死なないで!」

「……ジュリ……」

大きな腕がゆっくりと両肩に回り、やさしく抱き締めた。
壊れはしないのに、壊れ物のように触る指が私の髪をそっとすく。
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